都内で理学療法士として働いていたヨシノさん。
今はタンザニア南部のムトワラ州にあるネワラ県で理学療法士をしています。
ヨシノさんが派遣されているのは Newala District Hospitalと言う県立の病院。
そして、要請内容は「理学療法士科の新設」。
タンザニアの理学療法士はまだ少なく、
公立の病院でも理学療法士が常駐している所は少ないみたい。
開業権があるから、お金が儲かるダルエスサラームで開業をしている人が多いそう。
(2015年現在、日本の理学療法士には開業権は与えられていません)
だからネワラみたいに田舎で働いてくれるPTはなかなかいない。
ムトワラ州だけでも、サユリさんの病院にいるPTを合わせて数人しか働いていないとの事。
したがって、JICAの派遣はまだ理学療法士だけで、
作業療法士や言語聴覚士はアジアや中南米に派遣されているのが現状。
だから、現地の理学療法士に技術提供するとか、
知識の共有をするとか、そんなレベルじゃないのです。
毎日、病院の内部から、ネワラ住民に向けて、
「理学療法とはなんぞや」 を、アピールすると言う地道な作業を行っています。
ある時は、サユリさんと共同で無料で理学療法を提供するイベントを開いたそう。
ネワラのラジオに出演して、 現地語でイベントの紹介をしたりもしたみたい。
あまり浸透していない分野だから、 初めて病院に来た時は理学療法室もなかったし、
もちろん器具なども揃っていない。
1年4ヶ月かけてヨシノさんが作ってきて理学療法室はコレ。 廃墟から理学療法室を作りあげた。(笑)
平行棒はコンクリートで地面に埋め込まれています。 この几帳面な感じはサスガ!!! 少し前まで看護師の隊員が派遣されていて5Sの普及を行っていたようです。
もちろん院内で一番綺麗と評価されたのは理学療法室。
ヨシノさんの日常は理学療法の対象となる患者さん探しから始まります。
院内でも理学療法の役割が十分に周知されていないため、
医師や看護師も、誰に理学療法が必要か分かりません。
地道な普及活動のおかげで、 最近は外来で通ってきてくれる方も増えてきたそう。
時間になってもなかなか来ない患者さん。
電話してみると、「今着いたよ〜。すぐ行くね〜。」
今日来たのは手首を骨折した患者さん。
(写真の撮影に関して患者さんの了承を得ています) タンザニアでは多くの場合、レントゲンを撮ったり、
どこまで動かしていいかを決めるのは、 理学療法士の仕事になっています。
評価をしながら治療を進めていく。 治療費に関しても、病院側の規定はなく、
周辺の病院やタンザニア国内の同等病院の値段を調査して、 ヨシノさんが定めたもの。
1回いくらと決めてしまうと、 続けて来なくなってしまうから、
1回払ったら1ヶ月無料とか、 なるべく通院してもらえるように工夫したみたい。
なるぼど!
それでも、あのシモラムングの下に住んでいる集落の人とか、
病院から遠く、通いきれない人もまだまだ多い。
午後になったら病棟を回診して患者さんをチェックしていく。
看護師さんも医師よりちゃんと回診してくれるヨシノさんを信頼している様子。 医師や準医師は数日に一回しか病棟に来ないみたい。
「病院の外でお茶をしている姿は毎日見るんだけどね〜」 と、嘆きながらも笑顔のヨシノさん。
病棟では数人の看護師さんが常駐しているけど、
血圧とか体温とか、いわゆるバイタルチェックはあまりされていません。
機器がないと言うのもあるみたいですが。
今回も、カルテを見て、 脳卒中疑いのある患者さんのところに行ったら、
高血圧+発熱で理学療法以外の治療が必要な状況でした。
カルテを見ても入院時くらいしかバイタルチェックがされていなかった。
今の状況をカルテに書いて、看護師に伝えて、医師に対応してもらう。
こうやって少しでも患者さんの有益になるように、 毎日回診を続けているようだ。
そして、業務の間だけど、生活に欠かせないアレを体験させてもらいました。 そう、水汲みです。
家には蛇口というものはありません。
実費で買った大きなタンク×3にバケツで水を汲んで溜めていきます。
1個約20kgのバケツ!!! 想像異常に重たい。
私は3歩が限界でした。
持つ所も針金(?)と言うのか、保護されていないので、 手にめちゃくちゃ食い込みます。
洗濯しているおじちゃんの隣で水を汲んで、 300m程(もっと?)離れた自宅まで運ぶ。
修行です!!!
歩くと水は溢れてズボンはビショビショだし、
これを毎回やるのか〜と思うと心が折れます。
現地の女の人(水汲みは女性の仕事)も、
これより小さい容器だけど、頭に乗せて運んでいます。
さらに、今は乾季だから水がない!!! 雨季で調子が良い時はいつでも井戸から汲める。 でも、乾季はいつ水が出るか分からないし、
出た〜!と思って、家にバケツを取りに行って帰ってきたら出なくなっていたり…(笑)
途上国に来ると、生活に多くの時間が割かれる事がよくわかります。
あと、少しだけ病院の紹介。 院内は全部室内ではなく、各棟が屋外の渡り廊下でつながっています。
今、主流で使われている車椅子。
医療廃棄物。 数mの穴を人力で掘ったらしい。
注射器とか諸々そのまま破棄して埋め立てようとしている。
話は変わりますが、ヨシノさんとは ボランティアって与えたり、
助けたりするイメージがあったけど、 そうじゃないよね!って話で盛り上がりました。
タンザニアにはタンザニアのやり方があって、
ペースがあって、風習があって、宗教があって…。
日本のやり方をそのまんま持って来ようとしても通用しません。
アフリカ諸国は、経済的にも記述的にも援助される事が多く、
国民が「援助慣れ」している部分もあります。
「次は何してもらえるの?」
「アレが足りないけど、くれないの?」
でも、本当の援助ってそうじゃないですよね?
そもそも、なんで援助しているんだろう?
水が不足して困っている…
学校に通う事が出来なくて困っている…
そういう人たちにサポートは必要だと思います。
でも、ワカラナイ。
国際協力ってダレのタメ???
もともと国際協力に興味があった訳でもないので「?」がいっぱい。
今までJICAやボランティアに対してあったイメージが、
どんどんモヤモヤしていって、収集がつきません!
そして、そんな悩みを抱えてると、 こんなブログに出会いました。
作者が考えた話ですけどね。 まさに、思っていた事だったんです。
少年目線で、ボランティアが来てからの生活の様子を表現しています。
しかしある日、村にボランティアというやつが来ました。 そのボランティアはニホンという海の向こうから来ました。 そして、ボランティアはボクたちにこう言いました。 「トウモロコシとイモばかり食べていたら栄養不足になる。これからはヤサイを育てて食べなさい」
少年のお父さんは言われた通り野菜を育てます。 そして、街に売りに行きます。
ある日、またボランティアが来て言いました。 「もっと幸せになりたかったら、もっと働いてもっとお金を稼ぎなさい」 おとうさんは一年中お金のことを考えるようになりました。
これが、思い描いていた「幸せ」なのでしょうか。
また、こんな記事も
国際協力がある限り貧困は無くならない!途上国と先進国の共通する課題「相対的貧困」
絶対的貧困という言葉をとても簡単に説明すると、家がなく、ご飯を食べれず、医療を受けれず、他人から暴力を受け、とてもじゃないが人間とは呼べないほど貧しい状態のことだ。
相対的貧困とは、その国もしくは地域内で比較的貧しい状態にある人という意味だ。
相対的貧困はどこの国でも地域でも存在します。
日本でも高齢者や若い女性達(シングルマザーなど)の貧困が良く問題に挙げられていますね。
お金がないから貧困なのか?
家がないから貧困なのか?
物がないから貧困なのか?
貧困は不幸なのか?
実際に今まで貧困のイメージがあったアフリカの人達は、 とても楽しそうでした。
薪で火を起こして、 水を汲みに行って、 野菜を育てて、 放牧して、
大変だなぁって思ったりもしたけど、 これが日常で、これが生活。
別に不便も感じてないし、 この生活が嫌で自殺してやる!なんて人もいなそう。
日本の自殺率なのですごく高いですよね。
お金があるから不幸が生まれるんじゃないかと思わされるほど。
だから、ヨシノさんは、 日本など先進国と呼ばれる国々が抱える問題も、
同時に伝えていくように努力をしているんだって。
そして、逆にネワラ住民の生きたかにパワーをもらっている。
日本だと、最近セクハラとかパワハラとかうるさくて、
職場での会話自体に気を遣うようになっちゃっているけど、
ネワラでは 「昨日(休みの日)見かけなかったけどどこ行ってたの〜?」
と、プライベートな質問もどんどんされる。
そして、任期の最初の頃の休日は、
心も体も休息が必要だったから家にいる事が多かったけど、
あまりにもみんなに聞かれるから、 聞かれないように外に遊びに行くようになったとか。(笑)
1人で静かに好きな事をして過ごす時間が好きだったけど、
今では現地の人と現地語※を使いながら選挙の話までしている。
※ タンザニアはスワヒリ語だけど、ネワラではマコンデ族が多く、
部族意識が強い彼らは部族語を話す事が多いそう。
現地を理解するために現地の生活に参加してみたら、
逆に新たな自分を発見しパワーをもらっている!!!
こういう「お金」じゃない「幸せ」が良いですよね。
私の中で「貧国」「ボランティア」「国際協力」って、 まだまだ分かりませんが、
いろいろ話をしてくれたヨシノさん、ありがとうございました!!!
さて、明日はダルエスサラームに戻ります!
ンダンダ来た時の様にバスが故障しない事を祈って!
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